世界の英語なまり事情!
日本と非英語圏の5カ国の英語なまりを比較してみました


アメリカやイギリスなど第一言語が英語というネイティブスピーカーは3.5億人、第二言語が英語という非ネイティブスピーカーは8.5億人と言われ、世界中で12億人が英語を話すことになります。

そんな世界中で話される英語は、地域や非ネイティブの第一言語が影響して、大きく異なる方言/なまりが多数存在します。

よくYoutubeなどでイギリス英語とアメリカ英語の比較や、イギリス国内の地域で異なるなまりの比較などを紹介しているビデオが注目を集めていますが、比較される機会が少ないのが非ネイティブの英語のなまりです。

英語が話せないと言われる日本人

そんな非ネイティブの中でも、国によって英語力の高い低いの違いは当然あり、日本人は英語の発音が苦手、英語をあまり話せないと言う評価は、日本の国内外でも共通していると思います。

例えば、日本のTOEFLの2013年度の国別ランキングでは、アジアの中で日本は31カ国中26位と不名誉な結果に。日本人の英語、特にスピーキング能力の低さはこのようなテスト結果、ランキングからも容易に想像できると思います。

個人的になぜ日本人は英語が話せないかと言う理由は複数ありますが、今回はその要因の1つ、日本人の苦手な発音とその他の非英語圏の国の発音について、今回は発音記号をキーポイントに比較をしたいと思います。

まずは、なぜ日本人が英語の発音が苦手かを考えてみたいと思います。

国際音声記号って知っていました?
母国語の国際音声記号の数が発音の良し悪しに影響

国際音声記号は、あらゆる言語の音声を発音記号化しようという取り組みを行う国際音声学会が作成した発音記号のことです。最近では英語学習を行う上で、発音の矯正、改善に役立つと注目されているフォニックスのことです。

国際音声記号を取り入れた、英和辞書でよく見るフォニックスの利点は、言葉の音を発音通りに記すことができることです。

例えば、誰もが知っている”Thank you”という言葉。日本語で発音のつづりを書こうとするとサンキューかテンキューとなり、日本語に無い”th”の発音を正しく記すことはできません。

それに対して国際音声記号を用いれば“θˈæŋkˌjʊ”と発音通りに記すことができます。

でも、ここで問題が。上の例で出てくるthの音はそもそも日本語には無いため、最初から上手く発音できるかどうかは人次第。勘の良い人は最初からスムーズにできますが、そうでない人は口の形を意識して作り、少しずつ発音を矯正するというステップが必要になります。

つまり母国語がどれだけ多くの発音記号を持っているか、英語とどれだけ同じ発音記号を持っているかで、キレイな発音をするための有利不利が決まります。

発音記号の少ない言語を母国語として持っている人は、必然的に英語の発音の勉強に時間がかかり、発音に対して苦手意識が生まれる可能性が高まるのは自然な流れだからです。

英語には44の発音記号、日本語には34の発音記号が

英語が44の発音記号を持つことに対して、日本語の発音記号はたったの34。

発音記号の数が多いほど外国語学習がスムーズになりますが、日本語の場合は発音記号の面でもやはり大きなハンデが。

ここからは実際に日本を含めて非英語圏の国の英語なまりを比べて行きたいと思います。

日本語なまりの特徴

By: OiMax

まずは日本語なまりの特徴を軽く見て行きたいと思います。日本人の発音に関する本を持っている人や、発音矯正を受けたことがある人にはお馴染みの内容です。

LとRの発音

日本語のラ音はLとRの中間のような音のため、きちんとしたLとRの発音が曖昧に。特に舌先を上前歯につけて発音するLの音の発音が難しいと思います。そのため、LもRもラのように発音したりしてしまうことが。

“Rice”と言いたいのに、シラミを意味する”Lice”のように発音しているなどよく聞く話ですね。

th音「θ、ð」の発音

こちらも日本語には無い、無声歯摩擦音「th音」。

θは舌先を軽く開けた前歯の間に当てて音を作り、ðは近い舌先を前歯の裏に当てる感じで出す若干dに近い響きの音です。

例えば、clothはθの発音、thatはðの発音として使われます。

2種類あるth音ですが、これは日本語に無い音なので日本人にとって発音の難しい音の1つで、sやt、zで代用して発音されます。

高い英語能力があると言われているヨーロッパの国でもth音が無い場合があります。

母音を入れる

カタカナ発音の弊害として、子音だけで発音するところに母音が少し入ってしまう特徴。

例えば、お肉を意味する”meat(発音:mit)”は「ミート(発音:mito)」という形で発音されます。

母音の少なさ

日本語の母音はa/i/u/e/oの5つしかありませんが、実は英語にはʌ/ɑ/ɒ/i/ɪ/u/ʊ/e/ɜ/æ/ɔと実に11もの母音が。

そのため、細かな母音の使い分けが日本人には難しいため、ネイティブにとって分かりにくい場合が。

例えばfan(fˈæn)とfun(fˈʌn)。カタカナで発音を表記すれば、両方ともファンですが、発音記号で示せば母音が微妙に違うことがわかります。

他にも、「3キロ走りました」と言いたい時に母音の使い分けができず、”I ran(rˈæn) 3km.”と言ったところ、”I run(rˈʌn) 3km.”(私は3km走ります)と聞こえてしまうなど、細かな母音の使い分けで、伝えたい意味が変わってしまう場合が。

イントネーション

英語特有の強勢、アクセント、イントネーションなどがあまり無く、各音節を強弱なく発音し、抑揚が少ない特徴を持つ日本語。そのため、長い単語の発音が困難になる場合が。

例えば、metropolitan(mètrəpάlətn)という単語。発音記号を見るとアクセントが2つあり、日本語発音で発音してしまうと(metoropolitan)と抑揚が無くネイティブに聞こえるため、理解されにくいことが。

特に母音の使い分けができていないとより分かりにくくなってしまうので、注意が必要ですね。

アクセント符号を意識して、リズムで各単語の発音を覚えるのが理想的です。

表音式綴りでは無いことに気付いていない

意外と気付いていない人もたくさんいるかもしれませんが、英語の発音の難しさの1つは表音式綴りではないこと、つまり綴り通りに単語を発音しないことです。

例えば、よく似た綴りの”cost(kˈɔːst)”と”host(hóʊst)”。2文字目の”o”に注目すると、costのほうはoの発音に近いのに対して、hostのほうはouと言った感じでuが含まれています。

このように、綴りと発音が一致していないのも発音が難しい要因の1つで、綴りから生まれる“誤解”のせいで発音が難しくなることが。

その他

他にもv/f/shなど日本語ではあまり出ない音や、子音に母音を加えてしまうなどの特徴があります。

さあ、ここからは世界の非英語圏のなまりを見て行きましょう。

非英語圏トップクラスの英語力!スウェーデン

TOEFLでもEF英語能力指数でも高いスコアを得る北欧。英語もスウェーデン語もインド・ヨーロッパ語族のゲルマン語派に属すため、言語自体が似ているなどの理由で、スウェーデン人にとって英語学習は日本人よりも有利に。

全く同じというわけではありませんが、発音記号も英語と同じ数を持つスウェーデン語を母国語として話す人にとって発音が容易であることは想像できると思います。

そんなスウェーデン人の英語なまりをご紹介します。

ch音が苦手

“cheap”や”choose”など、英語ではよく使われる“チ”に近い音のch音。日本人には割と発音の楽な音ですが、実はスウェーデン人にとってあまり馴染みのない音のため、発音が難しいようです。

そのため、”ch”の代わりに”sh”を使って発音をするため、”cheap”(安い)を”sheep”(羊)、”choose”(選ぶ)を”shoes”(靴)のように発音してしまうことがあるようです。

この特徴はドイツ語など他のゲルマン語派の言語を母国語として持つ人にも見られます。

jの発音がyに

Ninja、Jokeなど、単語の中にあるjをyとして発音してしまうようです。

その場合、”Ninja”は”Ninya”に、”joke”は卵の黄身を意味する”yolk”に聞こえてしまうことが。

vとwの面白い関係

Vの発音がWに、Wの発音がVになってしまうという珍しい特徴があるようです。

例えば、”very”は疲れたを意味する”weary”に、”we”は”vi”のように発音されることが。

その他

他にも、英語と似ているがためにスウェーデン語の発想で文章を作ってしまったり、スウェーデン語の単語を英語と同じだと思って言ってしまう、というようなことがあるようです。

TOEFLでは意外と高得点のスペイン語なまり

スペインとブラジルを除く中南米の国で主に使用されるスペイン語。スペイン語圏は広大なため、英語はあまり上手では無いというイメージがありますが、意外とTOEFL受験者のスコアが高いのが特徴。

2013年度のスペインの受験者の平均スコアは94、中南米を含めたスペイン語を母国語とする受験者の平均スコアは83と、日本の平均スコア70よりもはるかに高いのが特徴。

そんなスペイン語なまりも日本語なまりに共通する点が意外とあるんです。

母音の少なさ

スペイン語の母音は日本語と同じように5つしかないのが特徴です。そのため、日本人と同じように細かな母音の使い分けができません。

例えば、”pot(pάt)”と”port(pˈɔɚt)“のoの部分の細かな発音の違いの対応が難しいなどのなまりが。

vの発音がbに

上の前歯を下唇に当てて「ぶ」と発音するイメージのv音。英語ではよく使われる音ですが、日本語と同じようにスペイン語にはその音がありません。

そのため、bとvが同じ形で発音されるのがスペイン語なまりの特徴です。例えば、”Victoria”を”Bictoria”として、”Venus”を”Benus”と発音します。

b(z)の発音

“cheese”、”news”、”was”など、綴りはsでも発音はzの単語をそのままsで発音してしまうクセがあるようです。そのため、チーズがチースになることが。

その他

母音が少ないことからあいまい母音(シュワー)が無い、rが巻き舌になる、逆にcarのようにrが最後にある場合はそのrがサイレントレターになる、d/v/pなどの子音が最後の音節に来る時に誤った発音をするなどの特徴があります。

母音の少なさや、vの発音が無いことなどが共通するように、日本語ネイティブにとって英語よりもスペイン語のほうが発音しやすいと言われる理由が想像できますね。

英語圏でも人気の外国語、フランス語のなまり

英語圏でもロマンティックな言語として外国語学習に人気のフランス語。

そんなフランスも、英語をあまり話さないと言う評判は日本でよく聞きますが、実はTOEFLのスコアは80点台半ばと上々の結果に。少しずつ変わりつつあるフランスの英語学習事情が想像できます。

英語圏でも高い?評価を受けるフランス語なまりの特徴を紹介します。

独特なrの発音

フランス語なまりの一番の特徴は独特なrの音では無いでしょうか?

英語のrともスペイン語の巻き舌のrとも違う、のどから出るrの音。そのフランス語風に英語のrを発音することが、独特のフランス語なまりの1つです。

h音がサイレントレターに

フランス語にはh音の無いが無いため、”home”や”house”を発音する場合”ome”や”ouse”に聞こえることが。

例えば、アーセナルに所属した元サッカー選手のティエリ・アンリ。アンリ(Henri)は英語のヘンリー(Henry)にあたりますが、頭文字のhが発音されてないことが、この特徴を良く表しています。

二重母音が苦手

“go(góʊ)”や”show(ʃˈəʊ)”のように母音が2つ重なる単語の発音が苦手。2重の部分をフラットに”go(gó)”や”show(ʃˈə)”などの形で発音します。

その他

長い単語の最後の音節を強調したり、th音をzの形で発音、独特のイントネーションがあるなどの特徴があります。

遊学先にも人気のフィリピン

philippine flag

公用語はフィリピン語に英語で、教育の場でも英語を積極的に使うフィリピン。

そんなフィリピンのTOEFLスコアは89点とアジアでも上位に入り、日本人の英語留学先としても注目されている国。

そんなフィリピン語なまりはどうなっているんでしょうか?

v音が苦手

日本と同様にvの発音が苦手なフィリピン。代わりにbを使って”very”を”berry”に似た形で発音するような特徴が。

f音が無い

fの音がフィリピン語にないため、pを代用して発音します。

そのため、フィリピンがピリピンに、ファミリーがパミリーに聞こえることが。

tをdとして発音する

tをdとして発音する特徴もあるようです。例えば、”tell”が”dell”に、”to”が”do”として発音されるなど。

その他

巻き舌のようなrや、単語の語尾にsを付ける、th音の代わりにs/tを使うなどの特徴が。

TOEFLでハイスコア!お隣の韓国語なまり

英語圏の語学学校でよくクラスメイトになる韓国の英語学習者。韓国語なまりが馴染み深いという人は結構多いんではないでしょうか?

英語教育に力を入れる韓国は、TOEFLでは日本よりも高いスコアを獲得し、アジアのTOEFLランキングでもTOP10にランクされる国と、英語力が高い国です。

z音が無い

韓国語にはzの音が無いので、zの代わりにsの音で発音するようです。

スペイン語なまりのようにチーズがチースになるという感じですね。

f音がpに

同じ、韓国語にはfの音がなく、pも英語と同じ音は無いようです。上の前歯を下唇に付けて摩擦音を出すfの音の発音が上手く行かずに、上唇と下唇でpの音を作る特徴が。

そのため、うちわを意味する”fan(fˈæn)”がなべを意味する”pan(pˈæn)”に、おばかを意味する”fool(fúːl)”が”pool(púːl)”プールになってしまうことが。

その他

th/b音が無い、rとl発音分け、単語の強調が苦手など、日本語とよく似た部分があります。

最後に:日本人の英語が下手なわけではない!

日本と非英語圏の英語なまりをここまで紹介しました。こうやって各国の英語なまりの特徴を綴っていると、人の英語力は母国語に大きく影響するということを感じました。

英語が上手いと言われる北欧やデンマーク、オランダの人々は複数の国が陸続きにあり、外国人と接する機会が多いなど、英語が上達する環境も英語が上手な大きな要因の1つです。

そして、同じような文法や発音記号、似ている単語がたくさんあるゲルマン語派の言語を母国語に持っていることは、英語学習の上でもさらに大きなアドバンテージに。

それら条件が全て正反対の日本人にとって学習が困難になるのも当然です。

どんなに英語が上手と言われるスウェーデン人も、母国語に無い音の発音や表現の仕方には苦労することがあるのは各国の人と同じ。

日本人の英語が下手なのではなく、日本語と英語が大きく異なる言語であり、英語を日常的に話す機会が乏しい環境で育っただけなんだと割り切って、なまりを気にせず堂々と英語を話すようにするのが一番だと思います。

大切なのは、いかにアクセントを隠すかではなく、どんな想いを伝えるかということだと思います。

リファレンス