ソーシャル・エクスペリメント
“Refugees are scum”
~難民はクズだ~


アメリカABC Newsの”What would you do?”や昨年バイラル動画となった”10 Hours of Walking in NYC as a Woman“など、ソーシャル・エクスペリメント(社会実験)動画を観るのが大好きな私。

ソーシャル・エクスペリメントを初めて聞いたという方は、一般の人をランダムに選んで通常とは異なるシチュエーションに出くわしたらどういう反応を示すか、そしてその反応から仮説や答えを導き出す出すと言うリサーチのことです。

例えば、夫婦のどちらか一方が公共の場でDVを受けていた時、その場にいた人は女性が暴力を受けた時に助けの手を差し伸べるがこと多いか、それとも男性の場合も同じように助けようとするか、というリサーチもその1つ。

Youtubeなどで色んなソーシャル・エクスペリメント動画を観るのが大好きな私が観た中で、最近面白いと思ったのがこちらです。

Act for Peaceの”Refugees are scum”

オーストラリアの難民支援団体のAct for Peaceが作成したソーシャル・エクスペリメント動画。シドニーの中心部での街ゆく人の反応を紹介しています。

1分ほどの動画で、2つのメッセージを掲げています。

1:Refugees are scum

“refugee”は難民、そして”scum”は価値の無い、ろくでなし、かすなどを意味する単語。文章の意味としては「難民はクズだ」と言った感じ。

インドネシアからボートピープルとしてオーストラリアを目指す人々に代表されるような、難民として救済を求める人々への措置や、それらの人々を阻止するための政策を打ち出す現オーストラリア首相のアボット氏など、難民の問題はオーストラリアの人にとって身近な社会問題です。

そんな中、街行く人にとって難民を否定した強烈にネガティブなメッセージを掲げることによって、通行人からの多くの反応が。

反応例

“Why?”(なんで?)
“Serious?”(真剣なの?)
“You don’t even know how much we spent.”
(どれだけ私たちが[救済に]お金を使っているか、知らないだろう。)
“No, I think you are scum.”
(いや、君がクズだよ。)
“Seriously wearing that, right?”
(本気でそれを付けているのか?)
“You are ****ing ridiculous, you know this is disgrace.”
(こんなのは**馬鹿げている、こんなのは恥だと分かっているだろ。)

そして、無言でネガティブなメッセージボードを取り上げて立ち去る男性に対して拍手を送る反応も。

否定的なメッセージに対して抗議の態度を取る人が多いことが分かります。

2:Help refugees

シーンが移り、メッセージは「難民を助けよう」という内容のHelp refugeesに変わります。

ポジティブなメッセージに対して多くの人は素通りかチラシを受け取るだけの行動と、ネガティブなメッセージよりも反応は無関心。

メッセージボードを掲げたボランティアも会話をすることが難しそう。

You care about refugees.
But do you care enough to act?

「難民のことを気にかけるみたいだけど、何か行動するほど気にかけてる?」

これが動画の結論となるメッセージ。

難民支援団体でありながら、難民はクズだという過激で否定的なメッセージと、よくあるような難民の手助けをしようという肯定的なメッセージの、反応を比べると言うクレバーなソーシャル・エクスペリメントに。

Act for Peaceの公式Youtubeチャンネルのその他の動画の再生数は低いながらも、このソーシャルエクスペリメントだけは現時点の再生数・シェア数ともに他の動画の群を抜いています。

そういう意味では、小さな支援団体がサポートや注目を集めるために作成した動画としては、成功例と言えるでしょう。

日本を含めて、オーストラリア以外ではどんな反応があるのか気になるところです。

“10 Hours of Walking in NYC as a Woman”が類似動画をたくさん生んだように、同じ趣旨のソーシャル・エクスペリメントを別の国でやってほしいと思います。

「難民はクズだ」、あなたはこの反応をどう思いますか?